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テレビドラマ「高校教師」再放送 打ちひしがれた男への愛情

1993年に放映されて話題になったドラマ「高校教師」が、2015年3月5日からTBS系で再放送されている。何となく予約録画しているが、仕事が忙しくなかなか観る時間がなかったが、漸く1話から4話を観た。忙しいという理由のほかに、やや際どい内容であるため子供達が居ると観ることが憚られるということもある。

ドラマの内容は、大学で生物の研究をしている羽村真田広之)が、短期間の教師として、二宮繭(桜井幸子)がいる女子高校に赴任する。そこで同僚の教師、繭や女友達、繭の父といろいろあり、更に婚約者との破局や大学研究室のクビ、女性の実習生との関係などいろいろある中で、羽村と繭の関係が深まっていく。教師と生徒の関係、女子高の同性愛、近親相姦、自殺など禁断の内容が含まれており、放映当時は少々センセーショナルを巻き起こしたと記憶している。後に映画版(遠山香織子、唐沢壽明)やドラマ2003版(上戸彩藤木直人)も制作された。

野島伸司脚本で目新しいドラマ作り、テーマ曲である森田童子「ぼくたちの失敗」、カメラワークも既存のドラマと違い凝っていた感じで名作であると思われる。登場人物は、学校の先生、女子高生、大学の教授、研究者、芸術家、独身女性など平凡な人物なのだが、それぞれが心の闇を抱えその孤独感が浮き彫りになるような静かな日常のシーンが映し出され、ストーリーに深みを与えている。この作品の良し悪しは、意見が分かれるかもしれないが、放映された1993年当時、個人的にこのドラマはかなり感情移入して観ていた。

当時は社会人になって3年目だったが、従事していたプロジェクトが多忙で夜遅くまで仕事という生活をしていたがそのプロジェクトが頓挫するなどゴタゴタしていて、それまでにやっていたことが行き詰まり少々失望していた時期であった。このドラマで羽村は下北沢に住んでいるという設定なのだが、当時小田急線沿線の会社の寮に住んでいたこともあり、なぜか主人公に自分を重ねてしまった。もちろん真田広之のようにカッコよくはいかないが、ドラマの中の白いステンカラーのコートが印象に残り、後にバーバリーの白いステンカラーのコートを買ったのも多少影響があったのかもしれない。あれから20年余り過ぎたが、管理職として上下からのプレッシャーが高まる中、休日返上で仕事をしている。このような状況でこのドラマを観ると、年甲斐もなくまた感情移入してしまいそうになる。

研究室を追われ、婚約を破棄し、女子校で問題に巻き込まれ打ちひしがれている行く主人公羽村を、繭が一途な愛情で寄り添い慕い尽くす。この繭は、心の奥底に激しい感情を秘めており時折激しい行動をとる性格だが、大人びて母性をも感じさせる役どころなのだが、桜井幸子が見事に演じ切っていた。

ドラマの第4話で印象的な羽村の台詞がある。
「自分には3つある。自分が知っている自分。他人が知っている自分。そして本当の自分。」
それを訊いた繭が本当の自分はどう知るか訊くと、全てを失った時にそれが判ると羽村が答える。
名セリフである。

そりゃ男が打ちひしがれている時に桜井幸子に励まされたら元気出るだろうというツッコミもあるだろうが、思い出深いドラマであり名作だと思う。