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ベストチョイスシンドローム

あらゆることに対して最適化を目指す最良選択症候群

BS1「天才ボビーフィッシャーの闘い」を観ました。

我が家の息子たちが将棋をやっていることを何回か書いたが(小学生の次男が将棋初段の免状を貰いました。 - つまらない日記)、我が家にはチェス盤と駒のセットもある。将棋盤は脚付き五寸(再生品)、駒は一字彫があるので、チェス盤も木製のそれなりのセットを購入した。息子たちは一時期チェスも二人でやっていた。私も少しやったが、駒の動かし方は判ってもどうにも戦法がわからないため、あまりやっていなかった。特に残り駒が少なくなり勝敗のつけようが無くなると、将棋の方が面白いのではないかと先入観で思ってしまう。

先日、NHKのBSで「天才ボビーフィッシャーの闘い」を録画予約して観た。これも調べると再放送だったようである。前回の「SONG TO SOUL」(SONG TO SOUL(ソングトゥソウル)「スカボローフェア」を観ました。 - つまらない日記)といい、時代遅れの「再放送男」である。チェスでは、IBMのディープブルーと対決して負けたカスパロフは知っていたが、ボビー・フィッシャーはあまり知らなかった。

ボビー・フィッシャーは、米ソ冷戦時代にアメリカ代表としてソ連とチェスで闘い世界チャンピオンになった天才チェスプレイヤーである。チェスが米ソ対抗の一つの道具になると、チェスで覇権を握るソ連が国家の威信をかけてチェス強化に取り組んだ。にも関わらず、ボビーフィッシャーはそれを破り頭脳格闘技の世界チャンピオンになり時代の寵児となった。しかし、輝いたのは一時で、その後、ボビーフィッシャーは隠遁生活に入り数奇な運命を辿る。

この番組では、ボビーフィッシャーの真の敵はソ連ではなく、アメリカであることが浮き彫りになってくる。ソ連滞在の経歴があるシングルマザーに育てられた生い立ちに既に暗い影がつきまとっていた。貧しい幼少期にチェスと出会いのめり込む中でその才能が開花するが。その後の活躍の中でも国家の威光に翻弄される人生を運命付けられていたのかもしれない。

東欧の女性と出会い一時的に人生が開けたかと思われたが、心を寄せる彼女も遠ざかってしまう。それは底知れないチェスに全てを捧げたために人生を失ってしまったような結末である。この番組を観て大崎善生の「将棋の子」を思い出した。一方は世界チャンピオンで、一方はプロになれなかった棋士の話であるが、共に嘗ては天才と呼ばれた青年が、チェス・将棋という無限の世界に飛び込んだために追い込まれてしまう様を描いている。

天才が故に国家と時代に翻弄される男を描いた見応えのあるドキュメンタリー番組であった。

将棋の子 (講談社文庫)

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