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ベストチョイスシンドローム

あらゆることに対して最適化を目指す最良選択症候群

「帰ってきたヒトラー(下)」を読みました。

「帰ってきたヒトラー」(ティムール・ヴェルメシュ)がドイツで売れているとという話を聞いて読んでみたいと思った。ネットでドイツ版の書評を見たことがあり、あのヒトラー第二次世界大戦の時代から現代のドイツにタイムスリップし、テレビタレントとして人気を博す話というのが大まかなアウトラインだ。いかにも面白そうな設定で、日本語版が出版されるのを何となく待っていた。今年の始め日本語版が出版されると買おうかどうか迷った。

我が家では、読みたい本がある時は、先ずは立ち読み、次に図書館で借りる、ブックオフ等の古本屋、それから書店購入というハードルがある。書店では売っているが、古本屋では見かけない。購入しようかと思ったが、上下2冊で高いこととタイトルがタイトルだけに家族からも少々異を唱える雰囲気が有ったので躊躇っていると、図書館でこの本があるのを見つけた。私が住む市の図書館では蔵書をネット検索できて、他の区の図書館の蔵書も近くの図書館に取り寄せることができる。それで取り敢えず予約した。

しかし、待ち人数が多く、今年の夏頃に予約したものが11月になって漸く用意できたとメールが来た。しかも、上巻ではなく下巻であった。それでも図書館に行って借りた。実は上巻は、書店で少しずつ立ち読み又は大型書店で座り読みしてかなり読み込んでいたので(本屋さんごめんなさい。)あらかた粗筋は判っていた。

下巻は、スラスラとすぐ読み終わった。やはり上巻の出だしから読まないと話は面白くない。上巻の「起承」から下巻の「転」に移るが最後が完結するストーリーとは思われなかった。まだ続編も可能なような気がする。ストーリーの詳細は読んでみてのお楽しみだが、私が読んでみてこの本の魅力と思われるのは次の点である。

第二次世界大戦時の人がタイムスリップして現代の生活をつぶさに観察したらどう思うかという視点。
・現代の生活に馴染むために新しい商品やサービスにどう折り合いをつけるかという点。
・現代にタイムスリップした人の視点で一人称で語られる文体。
ヒトラーが現代ではそっくりさんと見做され本人だと言い張るヒトラーと悉く噛み合わない点。
・現代人に失われた妥協のない一貫した主張が新しく尚且つ魅力に転じる点。

この本は、その一人称の文体からも「我が闘争」をもじっているとも思える。多くの読者が指摘するように、フィクションとは言え戦争犯罪人のモデルに読みながら感情移入してしまうところが、この本の魅力でもあり問題である。単なるフィクションとして読み飛ばして欲しいところだが、問題視する向きもあるだろう。ヒトラーとドイツの歴史をある程度知る人には面白いが(歴史人(別冊世界史人)「ヒトラーとナチスの真実」を読みました。 - つまらない日記)、一般的な日本人には興味が無いところからか一部を除いて特に話題にはなっていないようだ。

何でもドイツで映画化されるという話もあるようだが詳細は分からない。ちょっと観てみたい気もする。続編もありのような気がする。日本でもこのようなストーリーを作ると誰が主人公になるか考えたくなる。大平洋戦争で言えば東条英機などかもしれないだろうが、寧ろ坂本龍馬豊臣秀吉の方が受けるかもしれない。タイムスリップネタといえば現代人が過去に行くことが多いが、逆のタイムスリップネタも面白いかもしれない。いっそのこと、聖徳太子卑弥呼が現代にタイムスリップして近所の床屋の店主に世話になる処から始まるというストーリーはどうだろうか。