ベストチョイスシンドローム

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第一次世界大戦/人類史上初の国家消耗戦となった壮絶な戦争

NHKBSで3夜連続(再放送)で放映されていたドイツZDFが制作した「カラーでよみがえる第一次世界大戦」を観た。第一次世界大戦は、ドイツ国境を中心に攻防が3年続き、戦死者1千万人、餓死者等5百万人の犠牲者があった。人類史上初の機械化され民間人を巻き込んだ国家の総力戦により大量の死者が出た戦争であった。以降、この戦争の形態が現代に至るまで続いているとともに第二次世界大戦の序章であったという内容であった。

日本人からみると第二次世界大戦日露戦争は語られることが多いが、第一次世界はその影響が(少)なかったため語られることは少ないと思う。しかし、世界的には戦争のターニングポイントになった出来事のようだ。まず、大量の破壊兵器が使用され機械の戦争であったこと。航空機による爆撃も行われた。毒ガス等の化学兵器が使用された。主に米軍の戦車が投入された。またこれらの兵器製造に一般市民が荷担し国挙げての総力戦となった上に、民間人に兵器等の攻撃による死者や物資不足による餓死者など多くの犠牲が出て国力が消耗し、民衆の不満が高まった。

ドイツがベルギーに侵攻した時、ドイツ軍は敵の狙撃兵が発砲したという理由で一夜にしてルーヴェンの街の建物を破壊し尽くした。この時従来の戦争にない兵器の破壊力が示された。フランスとドイツ国境は、塹壕戦による膠着状態と双方の砲撃が繰り返された。百万発以上の砲撃による攻撃となった有名なソンヌの戦いでは百万人以上が戦死した。また、容赦ない砲撃に晒された兵士に痙攣のような震えの症状が続く精神疾患の砲弾神経症が多数発生したほか、多くの傷痍軍人が生じた。また、双方の占領の繰り返しにより数十万人の捕虜が生じ、余りにも人数が多くそれらの対応に非人道的な扱いもあったようである。

結局、ドイツの国力が消耗し、フランスとイギリスも消耗したところに大量の物資を持ち込んだアメリカ軍が参戦し戦争は終結に向かった。ドイツで戦争忌避が支配的になり共和国となったドイツが降伏した。戦争後の賠償金等による経済の疲弊によりナチスの台頭に繋がった。一方、ロシアもドイツとの戦いによる疲弊からロシア革命に繋がった。そもそもこの第一次世界大戦。歴史で有名なボスニア・ヘルツェゴビナオーストリア・ハンガリー帝国皇位継承者が暗殺されたサラエボの悲劇が契機となって始まったのだが、その出来事は当時戦争に至るような事件になるとは一般市民は思っていなかったようである。サラエボ事件も一回目の暗殺に失敗した後、プリンツィピが偶々馬車を発見し暗殺に至ったそうである。そもそも開戦前はヨーロッパ各国とも産業革命により経済が発展し嘗て無い平和な国民生活を各国が享受しており戦争の火種になるような事は無いというのが一般的な認識であったようだ。これらの経緯は「八月の砲声」(バーバラ・W・タックマン)に詳しいようなので読んでみたいと思う。

今年は第一次世界大戦勃発から100年ということで話題となることも多いようだ。歴史に疎い私は「カラーでよみがえる第一次世界大戦」を観て初めて第一次世界大戦のヨーロッパ戦線の実態を知った。日本は第一次世界大戦日英同盟により海軍の一部を派遣したようだが第二次世界大戦と比べると話題になることは少ない。しかし、第一次世界大戦でドイツが経験したことは、第二次世界大戦で日本が経験することになったのだと思った。とにかく当初ヨーロッパ諸国が楽観的に受け止めていた第一次世界大戦が、人類史上初めて体験する壮絶な戦争となり人命、物資、精神とも消耗しきっていく過程を描写した秀逸なドキュメンタリー番組であった。


八月の砲声 上 (ちくま学芸文庫)

八月の砲声 上 (ちくま学芸文庫)