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ベストチョイスシンドローム

あらゆることに対して最適化を目指す最良選択症候群

「音響の魔術師」ドルビー・ラボラトリーズ社

先月スマホをドコモF05DからF06Eに機種変更した(スマホをARROWS NX F06Eに買い換えました。(その2) - つまらない日記)のだが、F06Eにはドルビー・デジタル・プラスというサウンド効果機能が付いている。ドコモのdビデオで映画を視聴する時に、このドルビー・デジタル・プラスをオンにして「映画」モードでヘッドフォンで聞くと明らかに臨場感と迫力のあるサウンドになる。これまでの音楽や映像の再生プレイヤーアプリにもラウドネス(小音量でも低音や高音が強調される)機能や、強調する音域をコントロールしボーカル、ジャズ、ロックなどの音楽特性に対応するモードが付いているアプリはある。しかし、ドルビーというブランドのイメージがあるからかもしれないが、ドルビー・デジタル・プラスのサウンド効果は優れているように感じる。

ドルビーといえば、映画のドルビーサラウンドが思い出される。シネコンが臨場感溢れるドルビーサウンドを取り入れた造りとなっていることが、シネコン普及の要因の一つかもしれない。家庭用ホームシアターでもドルビーサラウンドシステムがあり、ドルビーと言えば音響のプロフェッショナルというイメージがある。古くはカセットテープのNR(ノイズリダクション)が思い出される。昔、私が所有してたLo-D(ローディ/日立)のカセットデッキには、ドルビーBとドルビーCのボタンがあり録音時と再生時にドルビーCをオンにしてカセットテープを使用していものだ。

ところでこのドルビーを開発しているドルビー・ラボラトリーズ(Dolby Laboratories, Inc)については、ネットや雑誌の記事で取り上げられているのをあまり見たことはないように思う。私は以前から個人的に独自の技術で世界をリードする企業や世界のブランドとして、デュポン、ボーイングBMWソニーマイクロソフトなどと並んでドルビー・ラボラトリーズが挙げられてもよいのではないかと思っていた。これほど音響という分野で独自の技術力を発揮し、世界の国々に浸透しているであろう会社の割にはビジネス界ではあまり目立たない存在である。「ドルビー」というブランド(あのロゴを含めて)も世界の消費者の認知度は相当高いと思われる。もちろん先に挙げた世界の名だたる企業と比較すると会社の規模が小さいと思われるので、比肩されることはないのだろう。しかし、ニッチ分野において高いシェアを誇るというマーケティングのお手本のような事業展開は、見習うべきところがあるような気がする。

そうはいえ、実は私自身ドルビー・ラボラトリーについてよく知らない。それで同社のHPなどネットで少し調べてみた。2012年9月期の年間総売上高は926,264千ドルで約1千億円という規模。世界の売上高1兆円を超える大企業から見ると確かに小規模な企業である。売上高のうちライセンス料が794,563千ドル(85.8%)、製品売上が103,388千ドル(11.2%)、サービス売上が28,313千ドル(3.0%)となっている。特筆すべきはライセンス収入が多くを占めているということ。これは音響研究の高い技術を基に収入を得るという理想の技術開発型企業の収益構造である。一方、ハードウェア製品を保有していないことから売り上げ規模は大きくはならず、コンシューマー向けの独自の商品訴求ができないという弱点にもなる。しかし、このライセンス先があのドルビーマークを付けたハードウェアやコンテンツを世界中のコンシューマーに知らしめることでその存在を示している。ドルビーのライセンスが付与された製品は数十億に昇るという

同社のHPによるとドルビー・ラボラトリーズは米国人のレイ・ドルビーが英国のケンブリッジ大学に進学したのちに1965年に英国で設立された。後に1976年本社をサンフランシスコに移転している。初めに開発したのはテープ録音時に生じるサーッという音を低減するドルビーAタイプNR(ノイズリダクション)技術である。世界へのライセンス普及の契機となったドルビーBタイプNRの初期のライセンス先は、日本のカセットデッキメーカーであるナカミチ(2002年民事再生法適用)であった。NRの後は映画サウンド、デジタルサウンド等に事業を拡大し、最近はモバイル分野にも使用されている。因みに米国アカデミー賞の授賞式が開催される会場はコダックシアターという名称であったが、2012年からドルビー・シアターと改名されている。

技術開発型の企業であれば憧れの理想のビジネス展開をしている企業かもしれない。創業者のレイ・ドルビーは2013年9月13日に亡くなられたがその開発者魂は尊敬される。「音響の魔術師」ドルビー・ラボラトリーズ。アベノミクスの経済対策で日本からもこのような会社が頭角を現してくることを願いたい。



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