ベストチョイスシンドローム

あらゆることに対して最適化を目指す最良選択症候群

新聞社説風平和論「虎児」

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」という諺がある。広辞苑によると「危険を冒さなければ功名は立てられないことのたとえ。」とある。得難いものを得ようとすれば、それなりの労苦とリスクが伴うものと解される。最近この諺から連想して考えることがある。平和という虎児を得るためには、戦争という虎穴に入らなければならないのかと。ある事柄を極めようとするには、相対立する事柄を理解しなければならない。例えば、日本語を研究するには、外国語を学び文法の差異を理解する必要がある。和食を極めようと思えば、フランス料理や中華料理を学び調味料や素材について理解する必要がある。何かを極めようと思えば、回り道でも相対する事柄を理解しなければならない。そうだとすると平和を目指すには戦争を理解する必要がある。なぜ国内で戦国時代が続いたのか、なぜ太平洋戦争が勃発したのか学ばなければならない。その原因と経過を充分に理解した上で、その原因を排除しなければ平和を維持できない。昨年、ハワイの真珠湾に行った。1941年12月8日の日本軍の空襲により戦艦アリゾナと共に海中に沈んだ乗員1,102名を悼むアリゾナ記念館や、太平洋戦争降伏文書の調印式が行われた戦艦ミズーリを見た。昨年、靖国神社遊就館に行き、特攻隊員の手記や人間魚雷回天、航空特攻兵器桜花を見た。太平洋戦争の一端を知った。しかし、見れば見るほど、戦争を知ることはそれを理解することで、戦争を理解することはそれを容認することに繋がるように思えてくる。虎児もやがて猛虎になる。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」に倣って、相対立する事柄に首を突っ込み過ぎて「ミイラ取りがミイラになる」になってしまわないか心配である。