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ベストチョイスシンドローム

あらゆることに対して最適化を目指す最良選択症候群

映画「永遠の0」を観ました。(ネタバレ注意)原作を超えた映画。

もう昨年のことになるが、映画「永遠の0」を観た。原作は読んでいるので(百田尚樹「永遠のゼロ」を読みました。 - つまらない日記)ストーリーが素晴らしいことは理解していた。それだけに映画を観る前に原作を損ねる内容ではないかと心配していた。Yahoo!映画のユーザーレビューを見ていると、小説の肝心な箇所がカットされているという意見がみられたので、果たしてどこがカットされているのかが気になった。大体、小説を映画化すると脚本家や監督がオリジナルの小説のストーリーを変更して映画の真のテーマが伝わらなくなってしまうケースが多い。小6と小4の息子達と観たのだが、映画というのは大体小説よりもガッカリするものだから、期待しないで見ようと言っていた。

映画「永遠の0」を見終わった。とても良く出来た映画だった。100点満点で95点。確かにカットされた部分もあったが、全体のストーリーとテーマを損なうようなものではなかった。寧ろ、最期の特攻時の二一型乗り換えの経緯と終戦後の経緯を丁寧に描くことで、主人公が何故特攻で死ぬ決意が出来たかが納得出来る内容になっている。CGによる映像も一部に空中の静止感があったが、リアルだった。特に空母赤城の映像は感動であった。

宮部久蔵役の岡田准一も観る前は若くて格好良すぎてイメージに合わないのではないかと思ったが、観てみると雰囲気が出ていて悪くなかった。夏八木勲田中泯も良かった。白い巨塔の里見助教授役の山本學が健太郎を励ますシーンがオールドファンの私には良かった。

原作から省略されているものとして、新聞記者の高山の存在がある。しかし、原作における高山の存在は、新聞社などの偏向報道を描くために挿入されているように思われ、やや違和感があった部分なので気にならなかった。代わりに映画独自に挿入された女の子との合コンシーンは、戦時の宮部久蔵にのめり込む健太郎と世間の認識のギャップが際立ち良かったと思われた。映画独自のシーンは大抵原作を損なうものが多いが、これは例外と思った。太平洋戦争終盤の大本営参謀の責任逃れの失策などの説明は省かれているところがあるが、その分、特攻隊を描くことで太平洋戦争の不条理さが強調されていると感じた。 その他にも省略されたシーンはあったが気にならなかった。

我が家の長男は、映画で挿入してほしかったシーンとして宮部久蔵がパラシュートで脱出した米兵を撃つシーンを挙げていた。確かにこれは宮部久蔵が徹底して生き延びることに拘る原作の逸話として印象に残るものである。映画にあっても良かったと思う。

マイナス部分としては、現代の上空に零戦が飛行するのはよいとしても、ラストでこれまでの登場人物がカメラ目線で次々にセリフをいうシーンで感情移入が途絶えてしまった感があるところ。マイナス5点。

この映画は、見終わった後、もう一度観ても良いと思った。これまで、そう思わせる映画にはなかなかお目にかかれなかったので、この映画は相当なのかもしれない。とにかく原作のテーマがしっかりと伝わってきた。 出だしとエンドの突入シーンは極めて良かった。終了後も最期の字幕ロールの終わりまで観てしまった。

「永遠の0」。期待通りの作品。原作を超えた映画と言えるかもしれない。