ベストチョイスシンドローム

あらゆることに対して最適化を目指す最良選択症候群

BS11放映中の氷点2001を観て

BS11火曜日夜7:00から放映中の氷点2001をブルーレイレコーダーの毎週予約録画により観ている。今から12年前のドラマなので、やや古い感があるが、なかなか良く出来ていると思う。小説「氷点」は、一般的には男女の愛憎劇みたいに思われているが、禁断のテーマが含まれている「人間の業」を問う小説だと思っている。ドラマの氷点もある程度原作に沿った内容で、この小説の趣旨を損なうものではないと思う。ストーリーは淡々と進むが、観ていて引き込まれるものがある。

キャストについては、末永遥が可憐な陽子役に見事にはまっている。これがこのドラマを引き立てている。氷点2006では石原さとみでこれも良かったが末永遥の方が良いかも。三浦友和は少々クラシカルな感じがするが悪くはない。原作のイメージでは非常に紳士だが心の奥底に深い妬みを持つ人物というイメージである。現在なら唐沢寿明とか流行りの「半沢直樹」でいえば大阪西支店長役の石丸幹二あたりだろうか。吉田栄作はいいと思う。「クリスマス・イブ」が思い出される。

さて、難しいのは主役とも言える陽子の母夏枝を演じる女優。浅野ゆう子は、陽子への憎しみという点では十分演じていると思う。氷点2006の飯島直子は、初めは「?」と思ったが、観てみるとまずまず良かった。ただ、原作のイメージでは和服の似合う美人という感じだが、もう少しスラッとしたイメージであった。陽子の出生の秘密からの憎しみプラス、若く美人の陽子に女として嫉妬するという感情も入り混じった演技が必要。中学生の娘の母親という設定から40歳くらいの設定だろうが、現在の女優ではなかなか思い付かない。個人的には裕木奈江あたりに演じてもらいたい。

この小説は、昭和38年に三浦綾子さんが朝日新聞社の一千万円の懸賞小説に応募して入選した話は有名。今見ても、「人間の罪」をテーマにしながらも、夫婦、親子、愛人のドロドロ劇は、大衆向けの内容になっている。三浦綾子さんの小説を初めて読んだのは高校時代に読んだ「塩狩峠」。「氷点」もそうだが、原作を読み出すとグイグイ引き込まれて読み進んでしまう。「塩狩峠」も夜を徹して一晩で読んでしまった記憶がある。「泥流地帯」も読んだ。旭川市三浦綾子記念館も行ったことがある。三浦綾子さんは、その人生からみても素晴らしい作家だと思っている。

しかし、「氷点」を読んで一つ思ったことがある。もし、最期に陽子が死んでしまうストーリーだとしたら、途轍もない衝撃と失望感で幕を閉じることになるだろう。特に出生の事実が判った時の衝撃は大きいだろう。個人的にはそのようにクローズして欲しかった。海外でもその方が分かりやすかったのではないかと思う。「続氷点」のストーリーは、続いて展開していくのだが、「氷点」と比べるとやや緊迫感が薄れてしまう感じはする。でも罪が許されることなく最悪の結果になる展開は、三浦綾子さんが許さなかったと思う。「罪」とともに「許し」が、この小説のテーマだからである。


氷点

氷点