ベストチョイスシンドローム

あらゆることに対して最適化を目指す最良選択症候群

トムとジェリー真ん中作品の名作「へんな体験記」

トムとジェリーは、小学生の頃繰り返し何度も観たので殆どの話は記憶の片隅に残っている。毎度のトムとジェリーのドタバタ劇が見所だが、真の魅力は、濃淡・明暗を丁寧に描いた背景やアニメの動きの柔らかさだと思う。これらはディズニーアニメの影響もあるのかもしれないが、昔のアメリカのアニメのクオリティの高さを感じる。私の小学生の子供も稀にトムとジェリーを観ることがあるが、何が面白いのかわからないが熱心に観ている。「天国と地獄」なんかは「あ~、トムが天国に間に合わない~!」と言って観ていた。

ところで、トムとジェリーには「真ん中作品」(という言い方がネットでは定着しているようだ。)があって、ドルーピーや善人エドさんなどのシリーズがある。この真ん中作品の中で異色なのが「へんな体験記」(原題:Symphony in Slang)である。日本語版、英語版でみることができるが、天国に行った男が慣用句・俗語混じりで半生を説明するのだが、天国の人は慣用句がわからないのでチンプンカンプンという話である。天国の人(ウエブスター先生)は、直訳をイメージしてそれが映像になって流れるアニメである。

昔、小学生のときは「涙が頬を駆ける」などは何となくわかる気がする程度であったが、高校英語で"It rains cats and dogs."(土砂降りの雨が降る。)というのを習った時、初めて「へんな体験記」の趣旨がわかったような気がした。"paint the town red"(派手に酒場を飲み歩く)も同様である。

調べてみると"I was born with a silver spoon in my mouth."(裕福な家庭に生まれる)や"It sent me up the river."(刑務所送りになる)、"The cat had her tongue."(黙り込む)などの慣用句のほかに、"date"(ナツメヤシの実)、"the grapevine"(噂の経路)、"bounce"(不渡りになる)など単語にも意外な意味があることが判った。英語は詳しくはないが、ウエブスター先生もかなり古い英語で解釈していると思われる。この文章を高校英語の試験問題にすると、日本語に訳す、他の単語の言い換え、英訳、穴埋めなど面白い問題ができそうだ。

いわゆる「トムとジェリー真ん中作品」には、「うらやましいテレビ」、「ステキな自動車」など一風変わった作品があるが、「へんな体験記」は異色の面白い作品だと思う。この作品は1951年に制作されたそうだ。トムとジェリーを含めて、日本が戦後の混乱期だった頃にアメリカではこのような娯楽アニメを大衆が楽しんでいたと思うと嘗てのアメリカの豊かさが偲ばれる。ところでそもそも本作品の"Symphony in Slang"というタイトルは「俗語の調べ」とでもいう意味なのだろうか。


トムとジェリー あそべるアニメパズル 1BOX(食玩)

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