ベストチョイスシンドローム

あらゆることに対して最適化を目指す最良選択症候群

人事異動

世間一般ではそろそろ人事異動の時期である。少し真面目な話だが、人事異動って必要なのだろうかと思う。別に私がこの春に異動が決まった訳ではないが、以前から疑問に思っている。異動といっても、昇進、地域異動、同事務所の別部署、プロジェクト始動・終了などいろいろなパターンがあるので、一概にはいえないと思う。私が、疑問に思うのは、いわゆる定期的な異動である。人事異動に対する視点としては、本人の視点、経営者・管理職の視点、顧客の視点があると思う。

・本人の視点
これはいろいろあるだろうが、希望する異動か、希望しない異動かということだろう。しかし、あまり重要ではないと思われる。給料を貰って雇用されているのだから労務管理上問題になるような配置転換などは別として、異動は止むを得ない。嫌な人と一緒になるor嫌な人と離れられる、仕事がハードになるor仕事が楽になる、単身赴任or家族一緒、昇進するor降格される、慣れた仕事or不慣れな仕事など悲喜こもごもであろう。スキルアップを図ることが大事だが、「異動」=「スキルアップ」ではない。せめて希望を述べて人事に取り入れてもらうことを祈ることぐらいしかできないだろう。

・経営者・管理職の視点
事業の繁忙の差を埋めるための異動などはやむを得ないであろう。余裕のある部署から忙しい部署への増員、新しい拠点設置のための異動、新プロジェクトへの配置など経営上の適切な判断であればやむを得ない。問題は、人事異動をすることで経営や管理の仕事をこなしていると管理職が勘違いしてしまうケースである。

一番問題と思われるのは、2年、3年経ったからそろそろ異動させようというケースである。この何となく異動が組織の競争力を削いでいると思われる。更に穿った見方をすると、無意識のうちに部下が上司より優秀にならないように無駄な異動を強いているのではないかと考えている。よく採用面接で面接者は自分より優秀な人材を採用しないという説がある。これは、自分の部下が優秀だと上司である自分の地位が脅威にさらされるという防衛反応であると思っている。

同様に男性は自分より(いろいろな意味で)優れた女性とは結婚しないという説がある。女性の遺伝子が優生だと後世に自分の遺伝子が残らないということらしい。(話は脱線したが)

また、この辺りで少し苦労してもらおうかという異動も?である。会社にとって新しいプロジェクトで他の誰もできない仕事であれば理解できるが、既存の他業務に異動するだけであれば、意味はないように思われる。また、どうせパフォーマンスの高い社員は2割なのだから、アチコチで活躍してもらわないと会社が伸びないという考えもあるだろう。こういう問題になると、そもそも誰がどういう基準で採用したのかという問題になる。とにかく特に必要性がない何となくの定期的な異動は本当に必要なのだろうか。

・顧客の視点
いずれにしても社内の理屈で世の中通用すれば別にどうこう言う必要はない。役所など異動したばかりでよくわかりませんで通用するのであれば問題はない。(最近はそうもいかないようだが)問題は人事異動によって顧客に対するサービス低下を招いては、顧客の不満増から売上減少に至ってしまう。以前あるコンサルタントの先生が「担当力」という言葉を使っていた。これはユーザーに一人の担当者をつけて継続して担当させるという考えである。顧客はこれまでの経緯やトラブルを理解し、自社の状況を理解してくれる担当者のほうが安心するだろう。

異動したばかりといって素人対応しているとクレームやトラブルに発展するリスクが高くなる。そもそも異動してすぐ100%対応できる仕事ってどうよと思う。ノウハウや人脈などの知的資産が軽視されている。ただし、漫然と既存業務をこなしていればよいとは思わない。2割くらいは既存業務の改善に取り組むべきだし、5年に一度くらいは関連する業務のプロジェクトに従事することも必要だと思う。

難しい問題なので結論はなかなか出ない。世の中、余裕が無くなってきている。異動になると、初めから100%の力を発揮するよう対応を迫られ四苦八苦し、失敗すると対応を任せられる。それが人材育成と言われるかもしれないが、全体で考えると何の発展も成長もない空回りとしか思えないのである。


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