ベストチョイスシンドローム

あらゆることに対して最適化を目指す最良選択症候群

中坊公平著「私の事件簿」

故人となった中坊公平氏と言えば、元日弁連会長で、住宅金融債権管理機構及び整理回収機構のトップとして手腕を発揮した偉人である。京大卒なので当然頭脳明晰だと思うが、人をまとめあげる能力に長けているという印象がある。尊敬すべき人物だと思っているが、個人的に最も印象的なのが森永ミルク事件の弁護を担ったことである。中坊弁護士が全文暗記し述べた「われのわが手で自分の子に毒物を飲ませたという自責の叫び」で有名な森永ヒ素ミルク事件裁判の冒頭陳述は、素晴らしい文章だと思う。「私の事件簿」にはその全文が掲載されている。中坊弁護士がというと正義の塊のような印象があるが、この本を読むと被害者の訪問を繰り返し行い現場主義の徹底が記されているが、意外にも、森永ヒ素ミルク事件の弁護の受諾に迷いがあったと記されている。この事件は昭和30年に発生したが、1973年12月、森永ミルク中毒の子どもを守る会、国、森永乳業の三者により確認書が締結され、被害者を恒久救済することで合意したのは昭和48年であった。ネットで検索すると現在でも年老いた親と脳の障がいを持った中年の子供が生活している記載があった。